認知症の親の代わりに廃車手続きしたい!代理で廃車にできる?
高齢化が進む日本において、親が認知症を発症するのは珍しいことではなくなってきています。本記事では、認知症の親に代わって廃車にする場合など、3つの事例における廃車手続きについて解説します。実際に廃車の手続きで困っている方や廃車の手続きを控えている方はぜひご一読ください。
認知症の親に代わって廃車にする
原則として、廃車手続きは自動車検査証に記載された「所有者」が運輸支局に出向いて行うものです。所有者以外の者が廃車手続きを行う場合は、事例に応じた別の手続きを事前に行う必要があります。認知症の親に代わって廃車にする場合であれば、成年後見制度を利用する必要があります。
成年後見制度の手続きの概要
認知症などによって判断能力が充分でない状態になった方を法律的に支援する制度が、成年後見制度です。本人の判断能力の程度によって補助・保佐・後見の3区分があります。手続きの流れとしては、まず成年後見を受ける方が実際に住んでいるところを管轄する家庭裁判所に補助・保佐・後見の開始の申し立てを行います。その後、裁判所による調査などを経て後見等開始の審判がなされ、成年後見人などが選任されます。成年後見人は本人に代わって契約などの手続きができるため、廃車手続きも可能です。
成年後見制度の手続きの費用
成年後見制度の手続きには、手数料と鑑定料がかかります。手数料については、申立手数料として収入印紙代の800円と、登記手数料として収入印紙代の2,600円が必要です。後見と保佐では、場合によって医師による鑑定を行うため鑑定料がかかることがあります。鑑定料は基本的には10万円以下で収まるようです。成年後見制度について相談したい場合は、市町村の地域包括支援センターまたは社会福祉協議会にお問い合わせください。
他人名義の車を代理で廃車にする
親族や知り合いから車を譲ってもらった場合に名義変更を忘れていると、所有者ではないため廃車手続きは行えません。まずは所有権の移転を行い、それから抹消登録を行いましょう。このように所有権の移転と同時に抹消登録することを移転抹消と呼びます。
移転抹消の概要
通常、車検切れの車は所有権の移転ができません。しかし、移転抹消を行う場合に限り車検切れでも所有権の移転ができるため、車検が切れていても問題はありません。移転抹消の手続きは、新所有者の住所を管轄する運輸支局で行ってください。手続きに向かう際は、自動車検査証とナンバープレートのほか、旧所有者の実印を押した譲渡証明書と委任状および印鑑証明書、新所有者の印鑑証明書を準備しましょう。状況によっては別途書類が必要になることもあるのでご注意ください。
移転抹消ができない場合
移転抹消ができない場合として考えられるのは、ディーラーやローン会社が所有者として登録されている場合です。このような場合、ローンを完済するまで所有権の移転は基本的にできず、移転抹消ができないので廃車手続きを行えません。
ローン完済前に廃車にするという状況は少ないものの、事故で大破したり、洪水で水没したり、廃車にせざるを得ない場合はあります。廃車手続きをするためのもっとも簡単な方法は、残債を一括返済して所有権を移転してもらうことですが、そうはいかない場合もあります。まずはディーラーやローン会社に相談してみましょう。
故人の車を廃車にする
親族が亡くなった後に車を廃車にする場合、所有者として登録されているのは故人のため、やはり所有権の移転が必要です。相続が関わる場合は軽自動車と普通車で手続きが異なります。
軽自動車の場合
故人の車が軽自動車の場合、相続手続きは発生しません。軽自動車検査協会で名義変更が完了すれば廃車手続きができます。自動車検査証のほか、住民票、新所有者の印鑑、旧所有者(故人)の印鑑を準備しましょう。
普通車の場合
故人の車が普通車の場合、まずは誰が車を相続するかを決定する必要があります。相続人が決まったら、運輸支局で手続きを行いましょう。軽自動車の手続きにおける資料や印鑑に加えて、戸籍謄本または戸籍全部事項証明書、遺産分割協議書などが必要になります。
手続きが面倒なときは買取業者にお願いしてみよう!
自分が所有者ではない車の廃車手続きを確認しましたが、いずれの場合も手間がかかります。運輸支局での手続きについても、運輸支局は土日祝日や年末年始は休みのため平日に行く必要があるなど、時間の都合をつけるのも大変でしょう。そんなときに力になってくれるのが、廃車買取業者です。中古車運輸支局での手続きについては、紹介した資料に委任状を加えるだけで代行してもらうことが可能であり、買取業者によっては無料で対応してくれる場合もあります。
廃車を専門に取り扱っている業者であれば手続きにも詳しいため、どんな資料が必要なのかも教えてもらえるでしょう。また、中古車販売店などで買い取ってもらえない車でも、廃車買取業者であれば買い取ってもらえます。他人が所有者となっている車に限らず、廃車の手続きに困っている場合は廃車買取業者に相談するのもひとつの方法です。
まとめ
認知症の親に代わって廃車にする場合など、3つの事例における廃車手続きについての解説でした。本記事で紹介した成年後見制度は、判断能力が不充分な方を保護するための制度です。そのため、廃車手続きだけを目的として申し立てをすることはおすすめしません。成年後見制度の審理は、調査や鑑定などが必要ない場合でも1~2か月程度かかるうえ、成年後見人などに選任されると本人が死亡するか能力が回復するまで所定の仕事を行う必要があります。成年後見制度は正しく理解したうえでご利用ください。